(二人きりの夜)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嵐のような5日間が終わり、東方神起の二人はあっという間に韓国に帰ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 あー何だか、1年も2年も一緒に暮らしたような、そんな5日間だったわ。

 

次はいつなのか、予定がわからないって言ってらしたけど。

 

ちょっと寂しいから、あの写真集買おうかな…経費で落ちないかしら…

 

そうだ!この前の罰として、内田さんに何とかして貰おう。

 

たまにご飯食べに来るし。その時頼もう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しのぶの携帯電話が鳴った。

 

 

 

 

あら、電話…誰かしら?

 

 

 

知らない番号…

 

 

 

 

「もしもし?」

 

 

 

 

「誰?」 男性は言った。

 

 

 

 

 

 誰?ってそっちからかけてきといて… 失礼な電話ね。としのぶは思いながら、間違いね。

 

 

「おかけ間違いですよ」 ブチッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トゥルルルー

 

 

 

 

また同じ番号だわ

 

 

 

 

「あの〜間違いじゃ」

 

 

 

 

「僕ですよ!!!」

 

 

 

 

 

「あ!チャンミンさんですか?」

 

 

 

「まだ、1週間しかたってないのに、もう僕の声忘れちゃったんですか?」

 

「だって、知らない番号だし・・・」

 

 

 

「言い訳無用!!家政婦さん失格ですね!」

 

 

 

 

「え?チャンミンさん、わたし首ですか!?」

 

 

「まぁー1回だけ、許しましょう フッフッフ」

 

 

「ありがとうございます。 ウフフフフフフ」

 

 

 

 

 こういうチャンミンさんとのやり取り・・懐かしいわ。

 

「どうしたんですか?チャンミンさん、今どこですか?」

 

「今は台湾です」

 

 

 

 

「大変ですねー。ほんとにお忙しいですね。チャンミンさん、ちゃんと食べてますか?飲みすぎて

 

 

ませんか?

 

「ハッハッハ、しのぶさん、相変わらず心配性ですね。大丈夫ですよ。しのぶさんこそ、僕に会えな

 

くて、寂しくてまた泣いてるんじゃないんですか?」

 

「ウフフ・・・チャンミンさん、よくわかりますね。寂しくて寂しくて、毎日泣いています」

 

 

「フフン! そうだと思いましたよ。可哀想だから、あさってはそっちに行きますから」

 

「はい、事務所からも連絡ありました。撮影ですか?」

 

 

「そうです! また怒鳴られに行きますよ…」

 

 

「まぁチャンミンさんたら…では、ご飯一杯作ってお待ちしております。

 

 

 

お電話ありがとうございました」

 

「たまには日本語話さないと、忘れちゃうからね。ヒョンはもう、忘れかけてますよ」

 

「ユンホさんもお元気ですか?」

 

 

 

「元気ですよ。電話ないですか?」

 

 

 

「ええ…まぁ用事もないですものね。私なんかに」

 

「拗ねてるんですか?しのぶさん…」

 

 

「ヒョンに電話してって言っておきましょうか?」

 

 

「まぁまぁとんでもない!!! すみません。そんなつもりでは…」

 

「冗談ですよ。ヒョンも早くしのぶさんの料理が食べたいって言ってましたよ」

 

「でも今回は、チャンミンさんお一人なんですよね?」

 

「そうですよ!不満ですか!?」

 

 

 

「ですから……フフフ…チャンミンさんこそ拗ねてるんですか?」

 

「ハッハッハ…相変わらずおもしろいですね!しのぶさん」

 

「チャンミンさんに会えるのが楽しみです」

 

 

「…………………………僕もです」

 

 

「またまたぁ冗談ばっかり!!!」

 

 

 

「そ、そうですよ! しのぶさん! 冗談に決まってるじゃないですか!!!」

 

「じゃあ! しのぶさん美味しい料理期待していますよ!」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 チャンミンは一人で撮影のために日本にやってきた。

 

撮影で監督に怒鳴られはしたが、しのぶの作った美味しい料理で満足した。

 

 

 

 

 

二人はおやすみなさいの挨拶をして、部屋に入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あーなんか寝れない…。

 

 

 

ビール飲もう……チャンミンはキッチンに行った。

 

 

 

 

明かりがついてる…

 

 

 

 

なんだ、しのぶさんもまだ起きてるのか。

 

 

俺たちの写真集見てるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全然めくらないじゃん…なんだよ

 

 

 

どのページ見てんだよ。

 

 

 

じっと見つめたまま、何かにやけてるし…

 

 

ひまわりと俺…? 海をバックの俺? 歯磨きの俺? 砂浜の俺? 誘う俺?

 

いったい、どれが気に入った?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 挟んだ。紐挟んだよ。めくらずにそのまま?チャンミンは気になって、しのぶに声を掛けた。

 

 

「しのぶさん、まだ寝てなかったんですか?ビールください」

 

「あら、チャンミンさん」

 

 

 

 

 しのぶは慌てて、写真集を棚に片付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何?何見てたんです?」

 

 

 

 

「恥ずかしい。見つかっちゃいました?お二人が日本にいらっしゃらない間、ずっとこれ見てたん

 

 

です。ほんとに素敵な写真集ですね」

 

「買ったんですか?」

 

 

 

 

「いえ、すみません。あの…内田さんに頂きました」

 

「そういえば、カレンダーもあるし、なんか僕らの写真がたくさん増えてますね」

 

「はい、内田さんがご飯食べにいらっしゃる度に、持って来てくださって」

 

「は?内田さん?  どうして、しのぶさんとこで、ご飯食べてるんですか?」

 

「お昼とか、仕事で近くに寄ったとかおっしゃって…お弁当お作りすることもたまにあったもので」

 

「お弁当???それ僕らもまだ作って貰った事ないのに?しのぶさん、それ拒否してくださいよ!」

 

「え?そういうわけには…それに美味しい、美味しいって言って、食べてくださると嬉しくて」

 

「そんな事言ってたら、内田さんドンドン太っちゃいますよ!奥さんにばれて、離婚されちゃいます

 

よ。知りませんからね。そうなっても」

 

「それは大変ですね…困りました…チャンミンさんから、言って頂けませんか?」

 

 

 

 

「言っておきます! まったく…僕らがいない間に……しのぶさん写真集見せてくださいよ」

 

「はい、チャンミンさん、ほんとにどれも素敵な写真ばかりですね」

 

「しのぶさん、どれが気に入ったんですか?」

 

 

 

「はい、お二人が楽しそうに微笑んでいる、この写真が大好きです」

 

「うん?どれです?」

 

 

 

 

 

 

 チャンミンは写真集を受け取りそのページを見た。

 

…このページには紐ないじゃん…   しのぶさん、紐はその前のページだよ

 

 

 

 

 

 チャンミンはページをめくった。

 

 

 

……ヒョンが楽しそうに笑ってるね……こっちおいでよって言ってるみたいだ。

 

 

 

 

 

 何だ、そうか…そうなんだ…。

 

 

 

 チャンミンの胸の奥の方がチクリとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジリリリリ・・・

 

 

 

 

 フフフ、今日はこの音もなんだか嬉しいくらいよ。

 

どうやって起こそうかしら?

 

 

 

「チャンミンさ〜ん。朝ですよ〜」しのぶは一応ドアの外から声をかけた。

 

「うん。もう朝?」

 

 

 

 

「え――――??」すぐに中から声が聞こえたので、しのぶは驚いてドアを開けた。

 

「…チャンミンさん! 起きたんですか? すぐに? なぜ? どうして?」

 

「寝れなかった」

 

 

 

 

「寝れなかったんですか? 寝る前にビール飲んだからでしょうか?今日撮影なのに…大丈夫で

 

すか?怖い監督に怒鳴られるから、緊張したんですか??」

 

「ご飯」 うつむいたまま、チャンミンが言った。

 

 

 

 

 

 チャンミンさんがおかしい…

 

 

 

いつもなら、僕が緊張なんかするわけないでしょ!? とかって言うはずなのに。

 

「今日はお弁当もたくさん作りましたので、良かったら他の出演者の方にも、食べて頂いて下さい

 

ね。今日は内田さんの分もありますから」

 

「あ…そう」

 

 

 

 

 

 何なんだ? このおも―い気分は。一睡も出来なかった。何かすっきりしない、イライラとした気

持ちは何だ? 何かあったか? 俺…。

 

 

 

 

 確かに、しのぶさんが言うように、監督に怒鳴られるのは憂鬱だ。

 

 でも、それとは違う何かが、俺をイライラさせている…

 

 ヒョンのあの写真が頭から離れない。    

 

 

 チャンミンは頭の中がグルグル回っているような気分だった。

 

 

 

 

 

「チャンミンさん・・・お替りはいかがですか?」

 

 

「もういらない」

 

 

 

 

「嘘でしょ!?2杯しか食べてませんよ。大丈夫ですか?」

 

熱でもあるのかしら??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おでこに伸ばした、しのぶの手をつかみ、チャンミンはそのまましのぶを抱きしめた

 

 

 

 

 

 

 

エ――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!