-失恋坂- いつもなら坂の途中で引き返していた  坂の上の先を覗くのが怖かったから もっとも恐れたのは変わってしまう自分と褪せていく記憶  立ちまわり回想する事で 君との思い出を綺麗に磨いていた  誰に責められるでもないのに 責められている気がしたんだ  不純に踊れたらどんなに身軽だろう  適当に過ごせたらどんなに軽快だろう 君がくれた温もりにあえて足を取られ優しさに溺れてく  悲しみに耽ると時の流れは遅くなるんだ  時間知覚が麻痺したとでもインテリぶれば カッコはいいが  ただの未練 人はそう言う ただの未練 人はそう言う  俯瞰してみると分かる  流れは遅くとも何もかもは毎日老いていく 背中を寂しく写せば 誰かが声を掛けてくれると過信していた 世の中と僕は繋がってると自惚れていたんだ  無言のメッセージは届かなかった  あの日 君に別れをきりだされた時と凄く似てる  君の強い決意にただ頷いた 若さゆえの自信が  君を引き留める焦りを噛み殺した  ただの間抜け 人はそう言う ただの間抜け 人はそう言う 君の背中をずっと見つめていた  君の影をずっと追い掛けていた  …×4    君の事だけをずっと照らしていた  君の事をずっとずっと想っていた …×4 別れる為に出会うのなら笑顔なんかいらない  侘びしさを誤魔化す希望もいらない 無神論者を語るのに年の初めに賽銭を投げ込む  イベントと称する あの姿  操を守らなくたって罰など当たらない  誰に責められるでもないけど 何かに敗れた気がするんだ 矛盾を上手く泳げたらどんなに楽だろう  不実に歩けたらどんなに楽しいだろう 僕の手を振り切って手にしたものは「失う」 という痛みを越えた喜びだったんだろ ねぇ教えてよ  その喜びが「僕にとって絶望でも笑ってみせるから」 と昼ドラぶれば 響きはいいが  ただの単身 人はそう言う ただの単身 人はそう言う 「商売女も抱いた事ないの?」と  僕を馬鹿にする肉食の連中が幸せを掴んでいく  実に不平等に よく出来た当代  そんな連中が僕をからかう事に飽きた後  真顔で「心配だ」なんて言い出した  君との思い出が悔しさ寂しさで滲みながら崩れてく いつもなら坂の途中で引き返していた  坂の上の先を覗くのが怖かったから でも今日は違う 坂の上の先を覗いてみるよ ただの失恋 人はそう言う ただの失恋 人はそう言う 君の背中をずっと見つめていた  君の影をずっと追い掛けていた  …×4    君の事だけをずっと照らしていた  君の事をずっとずっと想っていた …×4   君の背中をずっと見つめていた  君の影をずっと追い掛けていた  …×4    君の事だけをずっと照らしていた  君の事をずっとずっと想っていた …×4  もう夏が終わる もう秋になる  どしゃ降りの雨の中 夢中で坂の上を駆け抜けた  恋の坂 失恋坂