メルルのアトリエ アーランドの妹錬金術士
効果と特性「プチマスター、もうすぐ埋もれた遺跡ですよ」 「はーい」 アーランドを出て1日と少し経つ。 ロバを一匹借り、私はホムちゃんと一緒にロバでアーランドを南下していた。 武具屋に初めて訪れた次の日、さっそく採取に行こうと思ったが火力が心もとないことに気付いた。 そこで私は雑貨店「ロウとティファの雑貨店」により安いニューズを買った。 そう、爆弾であるクラフトの作成だ。 ニューズの皮をはぎ、中身を乳鉢使って魔力を込めながら混ぜる。 3,4時間続けた後に、同じく魔力を込めながらニューズの皮で被いながら固めるのだ。 それを2回行い、1日を費やした。 基本的に、錬金アイテムって魔力を通して発動するため、作成中はいつ爆発しないかハラハラしたものだ。 そういえば、これってどのくらい攻撃力あるのだろうか。 あんまり覚えてないけど、青ぷにくらいだったら一撃で倒せたよね・・? 「ねぇ、ホムちゃん、クラフトってどのくらいの攻撃力あるの?」 「そうですね、効果にもよりますがこのあたりでしたらほとんど倒せるのではないでしょうか。このあたりのウォルフも倒せなかったとしても瀕死になると思いますよ」 むむ、結構強いなー・・・ クラフトって爆弾の中でも攻撃力は低いが、広い範囲に攻撃できる爆弾なのだ。 巻き込まれないように注意は必要だけど、ウォルフに囲まれても大ダメージを与えることはできそうだ。 クラフトを作った翌日、アーランドを出たけど、今のところ順調。 途中の旧街道ではモンスターも出てこなかったしね。 震える結晶や雲綿花っぽいのがあったけど、荷物になるだろうから帰りに荷物を載せられたら採っていくことにした。 「プチマスター、ウォルフです!」 目の前に一匹のウォルフが出現する。私たちは、木々が増え、視界が少々悪かったのでロバから下りていた。 私は素早く人形を起動する。 お馴染みルーフェスお兄ちゃんと今日はケイナお姉ちゃんだ。 ちなみにホムちゃんとは、ウォルフ一匹であれば一人で対処すると打ち合わせている。 私もレベルアップしたいしね。 素早い動きをするウォルフは、人形には目もくれず、私に突っ込んでくるが、ルーフェスお兄ちゃん人形を間に割り込ませナイフで口を切りつける。 ウォルフは勢いのまま器用に牙でナイフを防いでくる。 ぐっ、重い・・生きているいとごしに伝わるウォルフの重さに呻く。 右手につながったお姉ちゃん人形に意思を伝わらせ、ウォルフの右手からナイフを振りあげるが直ぐに気付いたウォルフが飛び退く。 ふふっここを待っていました! 飛び退くウォルフが着地する地点へ、私は投げる! 「クラフトっ!」 投げる前に魔力を込めているため、クラフトには魔力が充満している。 クラフトがウォルフに当たったその衝撃で、クラフトは弾けた! パパンッパン! 爆発は一瞬だったけど、すごい音だった。 ウォルフを見ると、クラフトでずたずたになり、血まみれだ。 私は、追撃で人形たちを操り、ふらふらになっているウォルフを左右から切りつける。 一瞬だけ睨んできたが、次の瞬間力尽き倒れ伏した。 日本出身である私にとって、生き物の殺生は結構きついものがあるもののだいぶ慣れた。 転生前の記憶が戻った後、この道を進むにあたってだいぶ気にしていたことだ。 流石にお手の物とまではいかないけれど、モヨリの森のカロッテうさぎなどで練習していたので、解体くらいはいけますよ。 ホムちゃんと一緒にウォルフを解体し、採れた「獣のしかばね」を、バックに入れる。 「あ、プチマスター、フロジストンがありますよ」 ウォルフを解体し終わり、さぁ次に行くぞと言う時にホムちゃんがフロジストンを見つけたようだ。 ホムちゃんが指したあたりを見ると確かに赤い鉱石が見える。 急いで駆け寄って採取しようとしたら、振れる前にホムちゃんが私の手を掴む。 「プチマスター、これを」 渡されたのは一対の採集用手袋だった。 話を聞くところ、フロジストンは熱を発しているため、素手だと非常に危ないとのこと。 このあたりのフロジストンはそれほど品質の良いものではないものの、それでも低温火傷を起こしてしまうほどには熱いらしい。 渡された採集用手袋は、耐熱効果ももちろん耐寒、耐毒そのたもろもろ防いでくれる。 先ほどのウォルフの時もだが、採集用手袋をして行った方が良かったようだ。 しばらくフロジストンの採集とウォルフの迎撃をして、アーランドへと戻るため折り返した。 ウォルフは2匹以上だとホムちゃんがフラム無双していたのでほとんど危険もない。 ゲームで戦う姿などないんだけど、すごく強いよ・・・・ 旧街道の途中まで戻ってきたけど、夜も近くなってきたため、冒険者がよく野営する場所で一夜を過ごすことになった。 食料のこと全く考えていなかったので、携帯食料をこの採取に出かけた期間食べているが、パサパサしてはっきり言って美味しくない。 ホムちゃんは問題ないみたいな顔して食べてるけど、大丈夫なのだろうか。 「マスターたちが出かける際には、料理の材料と道具をお持ちしていますね」 私の視線に気づいたホムちゃんが答える。 「あー、秘密バッグ?」 「はい」 秘密バッグ 見た目はネコ型をした背負い型バッグ。 もちろん錬金術で作成したバッグであるため、ただのバッグではない。 そのバッグは、自宅にあるコンテナとつながっているのである。 その利点は、利点は旅先でコンテナにあるものを取り出せるだけでなく、旅先で採集した素材をコンテナへ移すことも可能なのだ。 そしてコンテナ内は劣化しない。 買い揃えていた錬金術素材はもちろんのこと、食材も腐ったりしないため、いつでも新鮮な食材が手に入るのだ。 「いいなー。確か秘密バッグってそこそこ錬金術のレベルが高かったよね」 「そうですね、プチマスターでも早くても1年くらい先にならないと難しいかと」 むー厳しい。 ほしいけど、1年も先か。 早めに魔法の道具関連は揃えておきたいけど、無いものねだりしてもしょうがない。 トラベルゲートはさらに錬金術レベルは高いのだ。 コツコツとレベル上げるしかないかな。 旅先の食事はどうしようかなー・・・ 特性の劣化速度を意図的に遅くするとかかなー・・・ アイテムにはそれぞれ効果と特性がある。 効果と言うのはその名の通りアイテムの効果だ。 たとえるならヒーリングサルブの効果は「HP回復」でフラムだと「炎ダメージ」になる。 ゲームだと小・中・大や単一の効果もあったりする。 そして特性なのだが、説明が難しいなー。 一言で言うと、継承可能な効果といったところだろうか。 例えば、フロジストンに「破壊力増加」といった特性がついてたとする。 まぁ、見ての通り、通常より破壊力を増加させる効果があるのだが、フロジストンはあくまでも鉱石であるため、「破壊力増加」の特性がついていても何の意味もない。 ただ、このフロジストンを使用してフラムを作ると通常よりも破壊力を増した爆弾が出来上がるのだ。 まぁ、簡単に説明したけど、どんなものにでも継承できるわけでない。 「破壊力増加」特性がついた材料で回復アイテムであるヒーリングサルブを作成しても、意味をなさない為その特性は消えてしまうのだ。 私が付けたがっている「劣化防止」はほとんどのアイテムにつけることができ、劣化防止の特性が低いものでも25%〜50%くらい劣化速度を減少させてくれるのだ。 日持ちする料理をこの劣化防止のついた素材で作れば、おいしい料理を長く食べることができるんじゃないかな。 検証が必要だけど試してみる価値があるかも! 後で気づいたけど、特性を継承できるのはあくまでも錬金術によってだった。 そのため、まずは錬金術のレベルアップと料理関連の錬金術の勉強を行う必要がある。 また、珍しい特性がついたアイテムはほとんど市場に出ていないため、自分で採取しにいかないといけないという悪循環・・ 私も早く秘密バッグ作れるようになりたいなー 前へ 目次 次へ |