‐‐ ちょっぴり天然で、頭もよい方ではないアーボックが居た。 彼は、初めて見た美しいポケモンに心を奪われる ジャローダ、というイッシュ地方に住んでいる皇族っぽいオーラを放った蛇の容貌をしたポケモンである。 アーボックが一目ぼれしちゃったジャローダ様は見た目通り、かなり高飛車で、ワガママで、じこちゅーだった。 勇気を振り絞ってアーボックはジャローダに告白してみた。 「なぁに、あなた。私の事が好きなんですって?」 「そうジャー。ジャローダさんは、とってもきれいで美人さんだし、す、す、好きなんだジャー」 「ふぅん… ちなみにあなた、体重はおいくつなのかしら?」 「じゃ?アーボックの体重は65kgだじゃ〜」 「な、なんですって・・・!(わ、私より2kgしか違わないだなんて…)」 これでは、細長い見た目でスリムに見える自分の美しさが際立たない! ここで、ジャローダはピーンとアイディアを思いついた。 「・・・いいでしょう、貴方に付き合ってあげます。 ただし、条件があります。わたし、貧弱な男には興味ないんです。 もっと太ってくれたら、ずっと付き合って差し上げて構いませんわ」 このアーボックが太ってくれたら、比較対象の私はよりスリムに見えますし、悪くないかもしれませんね。 なんだか言う事を聞きそうだし、いい下僕になりそうですわ。 「ほ、本当ジャ?やったジャーー!(>w<) アーボック、頑張って立派になるジャ〜」 ※1週間後 でっぷりとアーボックは太ってしまった。 元々、模様のある胴体部分?は横に広がっていたが、今では全体的に丸太を巨大化させたようにむっちり太い。 「ふぅふぅ、ジャローダ様、アーボック、立派になってきたじゃー?(・ω・?)」 「・・・ええ、そうね」 アーボックと付き合い始めて・・・というより、彼を下僕にしてから1週間。 言う事をきっちり聞いて、雑用から何から何までしてくれるアーボックに、次第にジャローダは心を許し始めていた。 というか、なんか丸々とし始めたアーボックがむしろ可愛く見えてきた。 「今日はワタクシの家に遊びに来てもらいますわ。 そこで最高級のポケモンフーズフルコースを堪能してもらいます」 「やったジャー!ジャローダ様のおうちに遊びに行けるジャ〜♪」 この天然で母性本能をくすぐってくるタイプのアーボックは、ジャローダと相性が良かったのか悪かったのか。 しかし恋仲と言うよりは、たんに仲の良いヘビポケモン同志にしか見えない。 それからも、ちょくちょくジャローダはアーボックを招待し、次第に彼の待遇をよくしていき… そして、約束をずーーっと守り続けるアーボックはどんどん太って 本当にヘビ型のくせに球体になるんじゃないかってほど、ぶくーーって膨らんでいって おなか?がパツパツのまんまるになっていき 体重が5倍・・・以上になって。 「ジャローダ様〜、お腹空いたじゃーー!(・w・)」 「もう、しょうがないわねぇ」 とか言いながら、まんざら嫌そうではない。 ジャローダが巻き付けない程のウエストになったアーボックは、お菓子をむしゃむしゃ食べながら、今日も平和に彼女の屋敷で体を立派にし続けていた。 おしまい