グルルル・・・と、猛獣の唸り声みたいな音が聞こえてリザードンは目を覚ました。 それは隣にいる巨大なポケモンが発した音。 すっかり目覚まし代わりとなった、ダークルギアの腹の虫の音である。 今一番とも思える大食らいのヌシに朝食の準備をする為、リザードンは寝床から起き上がって近場の果物が実る樹へと向かった。 何往復もして、数十キロ分の木の実を持ってくるのだが、それでも無くならないこの島の豊富な食料環境には1週間も立つともう驚かない。 川で水を飲むと、ダークの分も葉っぱで出来た大きな桶のような入れ物に汲んであげた。 果実の甘い匂いにつられて、ダークルギアが目を覚ます。 「んー、もう朝か。ふぁ〜あ・・・。」 むにゅむにゅと自分のお腹を撫でて腹の減り具合を確認。 寝起きですぐだと言うのにダークはもしゃもしゃとリンゴや木の実を齧り飲み込んでいく。 「足りなかったら追加持ってくる。」 今では居候のリザードンが準備をしてくれるせいで、彼の運動量は一気に激減してしまってた。 運動する機会が減るという事はそれだけエネルギーが使われないということで、早い話太りやすくなるというわけで。 1週間、とはいえ生活リズムが変化したダークルギアは元から超が付くほどまん丸な風船ボディだったが、より大きく、太ましくなっていた。 だが、それ以上に環境の変化の影響を受けたのはもちろんリザードンであろう。 この島ではとにかくのんびりする事ばかりで、誰かに出会うたびに食べ物をわけてもらったり、一緒にお喋りしながら食べたり・・・。 とにかく何かを食べるのがここでの生活の基本になっている。 それなら島のポケモンたちが全員あれほどの巨体を持っていたのかも納得できる。 その環境に初めは違和感を覚えていたリザードンも、彼らの生活に合わせていくと次第に食欲が増して、体重も増えて、お腹周りも増えてしまったのだ。 島での生活に慣れたが、やはり体重は気になる。 しかし、そんなリザードンの肥満化に拍車がかかるようなイベントが起こってしまうのであった。 Chapter.2[大食いレース開催] 「セカイイチ・・・、ですか?」 聞きなれない単語に、リザードンは緑色の目をパチパチと瞬きさせた。 「ああ。その特別な・・・巨大かつ美味い果実なんだが。この島に数ヶ月に一度、数個だけ生(な)るんだ。 ほっぺたが落ちるぐらいに旨いんだが、みんなで分けるほどサイズがあるわけじゃない。 だから、公平な条件としてレースをした勝者がそれを食べれるように決めたんだ。」 ダークルギアの説明は以下のとおり、単純なものであった。 スポーツかと思ったが、なんて事はない。この島らしい勝負方法であった。 ルール:2匹で1組のチームとする。リーダーは“自身の体重の300%”の木の実やポケモンフーズを食べなければゴールとならない。 ただし、パートナーが島の指定された各ポイントで出される大食いチャレンジを1つクリアし、 クリアした証であるエンブレムを貰うごとにリーダーが食べるクリア条件を10%減らすことが可能である。 「(うーん、食べ物を得る為に食べ物で競うとは;)」 しかも、年に数回やってるという事は大食いのポケモン達はその祭りのようなイベントを越える度に太っているのではないだろうか。 「ここ数年、セカイイチは食べてないんだよなぁ。なんだか年々きつくなってるような気がするし・・・。 さすがにチーム組まずに挑むのは限界が来てるんだろうか。」 それもそのはず、毎年太って体重が増え続けてるダークルギアはその競技で食べなければいけない量がどんどん増えているのだから。 そもそもチームで挑むようなルールになったのは、ほとんど決まったポケモン(ダークルギアを含む)が勝利し続けていたせいだ。 「あの、良かったら俺と組んでみませんか?」 自分ではたいした手助けは出来ないとわかっていたが、島に馴染みたいという気持ちと、世話になっている気持ちから思わずそんな事を口に出していた。 そして祭りの当日ーーー 島中の、ほぼすべてと言ってもよいポケモン達が集まっていた。 応援する者や参加ポケモン達、誰もが巨大で丸いのでその光景は圧巻である。 しかも参加するポケモン達が食べるものは、その巨大な彼ら3倍の量なのだから文字通り山のような食料が積み上げられていた。 特に島一番のヌシ、ダークルギアに用意された食べ物の量たるや信じられないぐらいで、リザードンは驚きのあまり開いた口が塞がらない程であった。 尻尾が筆になった犬のようなポケモン、ドーブルが描いた参加者たちの顔の組み合わせが石版のような岩に描かれている。 右側が今回のサポート役だ。 ダークルギアとリザードンのチームが一番上。 カビゴンとベロベルト。 オーダイルとバクフーン。 ニドキングとサイドン。 ピジョットとウィンディ。 バンギラスとカイリュー。 ラティオスとライチュウ・・・などなど他にも多くの参加者がいる。 まず、詳しいルール説明と開催の挨拶がされ、地面に描かれた島全体の大体の概略図と、ポイントが説明されていた。 「あ、君も参加するんだね。」 耳をピコピコさせながら、丸っこく、ふさふさな毛並みは相変わらずのバクフーンが笑顔で挨拶をしてきた。その口ぶりからすると、彼も参加するのだろう。 それにしても、彼らの体型を見て改めて自分なんかが勝負になるのだろうかとリザードンは不安に思った。 何しろ、本来は自分の種族の方が腹回りは大きいはずなのに、バクフーンやその他大勢のポケモンはそんな自分の倍以上差があるのが基本なのだから。 それでも、島で暮らすうちに太ったリザードンもそこそこ彼らの体型に近づいてきている。 出来る限りがんばろう、と彼は気合を入れる為に頬をぺちんと叩いた。 ちょっとほっぺたが柔らかくなっていたのがショックであったが、とりあえずリザードンはスタートの合図を待つ。 そして、いよいよセカイイチを求める大食いレースがスタートした。 合図の掛け声と同時に飛び出すリザードン。 それとは対照的に 「さて、いただきますっと。」 ダークルギア達はのんびり〜、と目の前の食べ物の山に手をつけ始めた。 試合開始から10分ほどたっただろうか、リザードンが最初のポイントに到着した。 他のポケモンたちと比べるとまだ体重も軽いという点もあるのだが、必要以上に気合が入ってしまい全力疾走していたのだ。 当然ながら、後ろを振り返ってもまだ誰も来ていない。 「おや、やけに早いな?あんたが一番乗りだよ。」 待っていたのは、やはり太いケンタロス。 4つ足で太っているせいか、お腹はまるで身重のようだ。・・・いや、そんなレベルじゃないか。 「そうみたい、だな。」 ちょっと拍子抜けしたが、よく考えたらあんな体型でまともな速度で走ったり飛んだり出来るわけないのだった。 そう考えると移動速度で、食べる速度に時間がかかっても多少はカバーできるかもしれない。 「それで、いったいここでは何を食べればクリアになるんだ?」 島のみんなの体型を考えると、不安でしょうがないリザードン。少量でありますよーに、という彼の小さな願いはすぐさま打ち消された。 「なーに、不安そうな顔すんな。お前さんは小食みたいだが、ここは最初のポイントだから”小腹を空かせる”程度の量だから安心しな。 ほれ、そこに一匹分区切って置いてるから食っておきな。残さず食ったら、このエンブレムやるからよ。お前さんの身長だと・・・そこの"中サイズ”の場所だな。」 そう言って、脇にある小さな葉っぱを加工したバッヂのような物を見せた。 一瞬、ホッとしたリザードンだが、すぐさま用意されていた木の実の量を見てガックリと肩を落とした。 なにしろ、色とりどりの木の実が少なく見積もっても20キロ以上は積み上げられていたからだ。 ちなみに大サイズは、大型ポケモンに対応しているのだろうが、その数倍はあって驚いた。 まさか1つのポイントでもこれだけ食べなければならないとは・・・・・・そう思いつつもリザードンは木の実に手を伸ばし始めた。 その頃ダークルギアはというと・・・ 「モグモグ・・・・・・ゴックン。いやー、今年の果物も果汁たっぷりで本当においしいなぁ♪」 マイペースに木の実を味わっていた。 すでにかなりの量を食べているはずなのだが、まだまだ余裕が見られる。 お腹にもたいして変化は見られないので、当分は大丈夫なのだろう。 そんな様子を実況するポケモンは、骨をマイク代わりのようにして持つガラガラ。 「さて、スタートは全員好調なようです。ヌシ様を筆頭に、カビゴンやバンギラス、オーダイルといった体の大きな者達がやや優勢でしょうか?」 「バクバク、ムシャムシャ。」 マイペースなダークルギアとは対象的に、かなりガッついているのがカビゴンであった。 食べるというよりは飲み込む、といった速度で次から次へと木の実を口に運んでいる。 その速度たるや、木の実の山の形が参加者たちの中で唯一変化しつつある。 だが、これにつられてスピードアップをすると大体後で苦労する。 カビゴンは食べる速度は凄いのだが、満腹になるとすぐ寝てしまうので実際はそれほど早く終わらないのだ。 再び視点をリザードンに戻してみよう。 「うぷ、、、ご、ご馳走様。」 開始に比べると、ちょっとだけ体が重くなったのがわかる。 まだ第一ポイントなのに、もうこんなにきつくなっていた。 到着は一番乗りだったが、食べている最中に他のみんなも到着し何匹かには追い抜かれている。 クリアの証を貰い、リザードンは急ぎ次のポイントを目指した。 体は重くなったが、他の球っころのように丸々としたポケモン達はまだすぐに追い越せた。 「リザードン頑張ってるなぁー。よぉし、こっちだって負けないぞ!」 えっちらおっちらと走っていた(気持ち的には走っているつもり☆)バクフーンはそんなリザードンの後姿を見て感心し、ちょっとだけ速度を上げていった。 二つ目のポイントは、甘いモモンの実を食べ続け、三つ目のポイントでは氷タイプのポケモンが作った木の実シロップをかけたかき氷を食べまくり、 苦労しつつも順調にクリアしていった。 移動時間も含めると、かれこれ2時間は過ぎている。 腹いっぱいになってきたポケモン達は、ほとんど徒歩状態に近くのんびりーと次のポイントを目指す。 その頃ダークルギア達はというと。 「ぐぐぐ、ぐるじぃ・・・。」 「とーちゃんガンバレー」 ニドラン♂やニドラン♀が応援する中、ニドキングがパンパンに膨れたお腹をおさえつつ、木の実の山へ手を伸ばす・・・が、届かない。 ある程度山の高さが低くなってしまうと、彼らの体型では寝そべるか補助をして貰わないと届かなくなってしまうのだ。 他の選手もそろそろ届かなくなってきた者が増え始め、応援するポケモン達が補助をするようになった。 「お兄ちゃんも、負けないでっ!ファイトファイト〜」 ラティアスは楽しそうにラティオスに木の実を渡す。というより、押し込んでいく。 「Σムガグッ、ま、まて妹よ、少しはペース配分と言うものをだなーーー?」 むくりむくりと膨らんでいくポケモンたち。 現在トップであるカビゴンは、満足したのか昼寝をしている。 彼のチームの参加理由は沢山食べることが目的であって優勝は視野に入れてないのだ。 硬い体を持つはずのバンギラスはどことなく柔らかそうに見えているし、ライチュウも白いお腹がグングン大きくなっていた。 ピジョットは明らかに飛べない見た目なほど丸くなり、オーダイルはでっぷりした体が更に巨大に見える。 そして、ダークルギアはというと・・・ 「ふぅーーー・・・ふぅー、さすがに辛くなってきたな。」 巨大な風船ボディは一回り大きくなっており、食べた量は1トンか2トンか、とにかく常識外れな量なことだけは違いない。 他のポケモン達に木の実を食べさせて貰っている感じで、ほっぺたもぷにぷにと膨らんでいた。 「さて、レースも中盤を通り越し、終盤に向かいつつあります。 ニドキングは家族一体となって協力していますが、かなり苦しいのか涙目になっております。ラティオス兄妹も同様に見られます。 オーダイルも苦しそうですが気合で食べ続けている、といったところでしょうか。カビゴンは相変わらず昼寝をしており、他の選手達もかなり厳しそうな状況です。 そして去年より太ったヌシ様は、やはり迫力があります。普段より更に膨れたその姿は圧巻という言葉しか思いつきません。」 選手たちの様子を冷静に実況するガラガラ。 今のところ、断トツで優勝候補に近い者はまだ誰かはわからない。 となると、サポート役のシンボルを集める選手たちがどれだけ頑張れるかだろうか。 元から体重の重かったサイドンやカイリューなんかは、たくさん食べて重くなったせいか歩行するのにも一苦労している。 すでに全員は5つのポイントをクリアして、一度スタート地点に戻りパートナーの食べる量を体重の50%分減らしていた(それでも現時点でまだ体重の250%食べなければいけない) 大食い競争が始まってから、すでに4時間は経過しただろうか。 すでにギブアップしたピジョットとウィンディのコンビは腹を休ませつつ、試合の経過を見続けていた。 「あなた、頑張って!」 「ムガムガっ・・(もう、食え、ん・・・!!)」 ニドクインとニドラン♂♀、兄弟のニドリーノやニドリーナが協力してドンドン木の実を食べさせていく。 ぷくぅーっと膨らんでいく頬や喉もと、そしてお腹。妹に食べさせられ続けるラティオスも同様である。 表情は涙目になり、止めてくれと言う暇すらない。 「うぐっ・・・・−−−?!」 バタリ。 だが、ほぼ無理やり食べさせ続けられていたニドキングとラティオスもとうとう限界を迎えたのか、寝込んでしまった。 これで優勝候補はダークルギアかオーダイル、バンギラスに絞られた。 昼寝から目を覚ましたカビゴンが怒涛の勢いを見せているが、パートナーのベロリンガも満腹になり寝て帰ってこないので意味がない。 流石は似たもの同士の大食いポケモンである。 優勝自体に興味のない彼らは放っておいて、その頃リザードン達はどうなっているだろう。 「ふひぃ、ひぃ、腹がパンクしそうだ・・・。」 見事に膨れ上がったお腹に、なんとか木の実を詰め込むリザードン。 今まで生きてきて、これほど食べた事など当然ながらなく、未知の領域の苦痛に大苦戦。 「うっぷ、僕もきついかも。」 バクフーンも流石に食べ続けるのが辛くなってきている。 今いるポイントのクリア条件はネイティオの出すクイズに5問正解しなければならず、解答権を得るためには木の実を20個も食べなくてはならない。 完全解答したとしても100個なのだ。 「へへ、僕はまだまだ余裕だよ。」 カイリューは彼らより何倍も大きなお腹をしているからか、余裕の表情だ。 バクバクと食べ続け、どんどん問題に解答していく・・・・・・・・・のだが、なかなか正解しない。 「トゥートゥー。トゥー?」 「そ、そんなの知らねーよっ!」 かなり難しい問題ばかりを次々と出され、かなり足止めを食らってしまった。 リザードンは確実にわかる問題だけにチャレンジし続け、なんとか1抜け。続いてバクフーン。 手当たり次第にすべての問題に挑戦していったカイリューはもうドンドン膨れて太り、今までの食料と合わせてカビゴンよりも遅い動きとなってしまう。 「た、食べすぎちゃった・・・・・ゲプ。」 うっかり食べ過ぎてしまったカイリューもここでリタイア。ゴロンと転がってボールみたいだ。 残るはダークルギア・リザードンのメタボなお腹コンビとバクフーン・オーダイルの第二世代・御三家コンビ。 両者とも、すでに体重の150%以上を食べつくし、無くなる事のないと思われた山が減りつつある。 しかしそれに比例してルギアとオーダイルの腹は見事なまでに巨大化し、頬もぷにぷに、お腹はパンパン、手足はむっちり、とでも言うべきだろうか。 「ヒィヒィ・・・。ぅ、んん〜、、、苦しい。」 「流石はヌシ様だぜ・・・うっぷ。」 すでに食べた量は4桁を超えているだろうが、ダークルギアの場合は1t程度では済まない。 だがオーダイルもここまできたらと勝利を目指す。 そして試合開始から6時間が経過。 このレースもいよいよ終盤にさしかかる。 「果たしてヌシ様とオーダイル、勝つのはどちらのチームになるでしょう。 おや、バクフーンが戻ってきたようです。手にしているシンボルは4つで合計9つ!これでオーダイルの残りは20%を切ることになりました。」 「ハァハァ、つ、疲れたぁ〜〜。」 ドッスゥ〜ンと音を立てて倒れこむ巨体のバクフーン。これほどまでに太った体で、更には各ポイントで腹一杯食べてから急いで来たものだから、疲労もとんでもないのだろう。 だが、リザードンの姿はまだ見えない。 現在の状況としては、ダークルギアのチームはシンボルが5つ。食べた量は190%で残る木の実は体重の60%分。 それに対して、オーダイルチームはシンボルが9つ、食べた量は190%と同じだが残り20%となっていた。 だが、ダークルギアは諦めずにまだまだ食べ続ける。オーダイルもラストスパートをかけて更に腹を巨大化させていく! 「ぐふぅ〜、バクフーン、ひぃひぃ、お前の頑張りは、ふぅふぅ、無駄にはしねぇぜっ!ぬぉおおおお!(ガツガツ、ムシャムシャ)」 残る木の実や果物は数十キロ。今年の優勝は、オーダイル&バクフーンチームに決まったなぁ、と誰もが思い始めたとき、 見事なまでに丸々とした黄色い満月が視界に入ってきた。 あれはなんだ? 満月か。違う、風船だ。いや・・・リザードンのお腹だ! そう、もとがそれほど太っていなかった為に、出発時の何倍にも膨れ上がったリザードンが帰ってきたのだ。しかも、シンボルを5つ手に持って。 その姿を、仰向けの状態のまま確認したダークルギアは決意をして補助ポケモンたちに頼んだ。 「り、リザードン・・・。よし、お前たち、残り全部の木の実を私に食べさせてくr(ガボッ!!)ま、まて、まだ心の準備がむぐぉおおおっ??!!」 (チーン・・・・) こうして、昇天しかけたダークルギアが最後の一つを飲み込んで長い試合は終わった。 「・・・・本当に良いの?」 一切れサイズの小さな果物を見つめて、バクフーンが尋ねる。 リザードンは優勝商品であるセカイイチを細かく切って、参加者全員に配ったのだ。 「ああ、俺はもう腹一杯で満足に楽しめないだろうし。そもそも手伝いが、うっぷ、目的だったしな。」 そういって狸みたいに膨らんだお腹をポンと叩いた。 「へへ、ありがとうよ。」 オーダイル達は貰った一切れをひょいと口に放り込む。 「まったく、お前にそんな事をされたら島のヌシとか言われている私だけ食べるわけにもいくまい。」 苦笑いしながら、心優しい島のヌシは巨大なセカイイチをストライクに切り分けて貰うと他のポケモン達にもわけあたえ、小さな一切れを自分が最後に食べるのだった。 「ふふ、これっぱかしでは腹の足しにならんが・・・やはり、うまいな。ありがとなリザードン。」 こうして、リザードンにまた一つ島での思い出が出来、ずっとここに居たいと思う気持ちが強まり、島のみんなとの絆も深くなるのであった。 ―――― [指定対象、カクニン。位置データヲ送信シマス] 島の上方を飛ぶ小型カメラがとあるポケモンを捕らえ、映像が船に送られた。 「ようやく見つけたよ、碧眼(グリーン・アイ)・・・金の成る木。ふふ」 一隻の、船と呼ぶには巨大な大型船が島へと進路をゆっくりと向けていく。