ルカリオ達とチョコレイト 「おーい、今日の追加分持ってきたぜ。」 笑顔で部屋に入ってきたのは、大きな荷物を持ったバンギラス。随分と太っているのか、ガタイが良すぎる上にかなり丸い。 ちょっと憂鬱そうな顔で、部屋にいたルカリオがその方向を向いた。 「うぅ、今日もそんなにあるの?」 バンギラスが荷物を置くと、ドスーンと重量感のある音が部屋に響く。 数十キロ・・・いやそれ以上ある箱の中身は全てバレンタインデーのチョコレートである。 当日から数週間過ぎたというのに、ルカリオの元にはまだまだ届くのだ。 映画出演した時に、チョコレートを美味しそうに食べたイメージが強いのだろう。 元からの人気もプラスして、毎年大量に送られてくるのだ。 「それでも、去年に比べりゃ大分減ったんじゃねぇの? にしても、あー肩こった。」 グルグルと肩を回すバンギラス。ほぼ毎日運ぶせいで、流石に疲労がたまっている。 「それでも、こんなに食べたらまた太っちゃうよぉ。」 「なーに言ってんだ、もう十分すぎるほどぷくぷくのくせによ。」 ニヤついた顔で、バンギラスがルカリオの全身をジロジロと見つめた。 腕はパンみたいにふっくらしており、足はムチムチと太くなり短足にも見える。 顔も、ほっぺたが丸みを帯びて、格好良いイメージよりピカチュウのような愛玩系の顔つきになっていた。 そして、まん丸お腹は饅頭かお餅のようにぽってりとしており、明らかに太りすぎであった。 本来50キロ平均の体重は、驚くべきことにカビゴンと同じかそれ以上。 シルエットだけ見たらカビゴンやマルマインに間違われても文句を言えない立派な体格をしていた。 今は座ったまま、チョコレートを処理するためにバクバクと食べまくっている。膨れたお腹で足は開いたままだ。 肉球も昔よりぷにぷに度が増している。 お腹が出すぎて、立っている時は足元が見えないので苦労している。とはいえ、最近は部屋にこもりっきりで移動する事がほとんどなく益々太ってしまった。 「ふぅふぅ、もう食べれない・・・ゴメンちょっと横になるよ。」 お腹を休ませる為、壁によりかかったルカリオはバンギラスにバトンタッチした。 「ったく、しょーがねぇ。俺までますます太っちまうじゃね〜か。」 そういいつつ、この協力を申し出たのは彼の方からであったが。 「ただ俺は多少太った所で仕事の依頼に変化ねーからなぁ。 お前の場合、今の体型見られたらスポンサーに何言われるかね〜」 チョコを食べつつ、笑いながらバンギラスがルカリオのお腹をツンツンと突っつく。かなりプニプニでお腹が肉球みたいに柔らかい。 「Σわひゃぅ?!」 ビックリして体を跳ね起こそうとするルカリオだが、体が重すぎるのか腰が上がらなかった。 「ミュウが変身でお前さんの代理で仕事してるから良いけども、お前いつになったら痩せるんだろなぁ。」 「う・・・。」 「お前、なんだかんだで俺と同じかそれ以上にチョコ食ってるしなー。 俺はそろそろグラードンさんの体重超えるけど、お前も頑張れば抜けるんじゃないか?」 「そんなの超えたくないよっ! ・・・あ、そのチョコ美味しそう。ねね、それだけ貰って良い?」 怒ってぷくーっと頬を膨らませたルカリオ・・・もとい、元から膨れ気味の口元からよだれがタラリ。 バンギラスが新たに開けた箱に入っていたチョコがとても魅力的だったのだ。 「お前、痩せる気ないんじゃねーか・・・?」 次の新地方が来るまで、当分痩せそうにないルカリオ達であった。 そして、似たような境遇でありながら、開き直ったポケモンもいた・・・ 「モグモグ・・・ふぅー、流石にこう甘いものばかり食べていると飽きてくるな。 ポケモンフーズの塩漬け取ってきてくれないか?」 大きなポケモンが、その場から動かぬまま自分と似て非なる相手に向かってお願いをした。 せんすいポケモンのルギアである。山積みになったチョコレートやお菓子に囲まれて、寝ながら食べていた。 「・・・あのなぁ、俺はお前の召使いじゃないんだぞ。」 そんな彼の介護をするのはダークルギア。 なぜ介護、かと言うと現在のルギアは殆どの行動が制限されているからである。 理由は単純に怠けと食べすぎによる、ただの太りすぎ。 一見パンク寸前と思えるほど巨大な風船腹にはみっちりと余分なお肉が詰まっている。 体重は余裕の1t超え・・・どころか、2tも目指せそうな勢いで増量しつつある。 離れると、SDのマスコット人形みたいに、手足が小さめで太く短く見えるがそれも体が(というかお腹が)大きすぎるせいだ。 「ったく風船じゃあるまいし、いつまで膨れるんだよ。」 ルカリオ同様に、仕事にならないので撮影時やジャケットに登場する時はダークルギアが体の色を染めて誤魔化している。 しかし、ダークルギアもこの頃は若干ストレスで太りだしてきたので注意している。 「って、ちょっと待て。なんで俺はダイエットしてるのに肝心のお前は食い続けてるんだよっ!」 「まぁまぁ、ソウルシルバーの仕事は一通り終わったことだし、新作が出たら暫く時間も稼げるはずさ。 だから、ダイエットは当分先で良いだろう?」 「うーーむ、なんか納得出来ないような・・・」 「それに元々お前(ダークルギア)は出番がたった一度しか無かっただろう? だが、本当は今活躍しているのはお前なんだ。胸を張って誇れる事だぞ。それに比べて俺は映画出演した後は食っちゃ寝してるだけで済むから楽・・・じゃなかった、お前の出番の為に暫くこうして身を引いているんだ。」 「そ、そうだったのか・・・っ!」 「うん、そうそう。」 てきとーに投げやりな返答をするが、それでも信じてしまうダークルギアは随分と生真面目というかお人好しであった。 「(あぁ、同族ながら可哀想なぐらい単純な奴・・・だから、あんな組織に利用されたりもしたんだろうけど。)」 同情はしながらも、相変わらずぐうたら生活を止める気の無いルギアはこれからも太り続けることだろう。 ルカリオと違い、こちらのダイエットが始まるのは、まだまだ先のようだ。 おしまい