2012.9.23

学校給食の単独校調理場への民間委託の導入について反対討論

日本共産党　赤星ゆかり

　ただいま議題となっております、議案第１０５号平成２４年度富山市一般会計補正予算中、債務負担行為の補正について、日本共産党の反対討論を行います。

　これは、富山市立芝園小学校・芝園中学校・愛宕幼稚園と、杉原中学校、城山中学校の学校給食の単独校調理場の、センターとは違って学校の中に給食室があるところの調理及び洗浄業務に、初めて民間委託を導入しようとするものです。

　学校給食には、学校給食法で定めている、児童生徒の心身の健全な発達に資し、国民の食生活の改善に寄与するとして、食事についての正しい理解と望ましい習慣を養うこと、学校生活を豊かにし明るい社交性を養うこと、栄養の改善や健康の増進を図ること、食料の生産、配分や消費についての正しい理解を目指すことなどの、教育目的があります。

　この仕事を公の仕事として担っているのが現場の職員のみなさんです。

　経済効率を追及する、市場原理に委ねてはいけない分野です。

　なぜ今回の民間委託なのか？　当局の説明では、「厳しい財政状況等から業務運営の効率化を求められている。」「また、市の方針として、更なる職員数の適正化を図るため、当面、調理員の採用を行わないことになっている。」ので、「臨時職員が多くなり、現場がまわらないところも出てくる」そこで、「正規職員を異動させ、空いたところに民間を入れるのだ」といいます。給食の「現場がまわらない」状態になっても市の職員を採用しない、という状態が「適正」といえるのでしょうか？

　職員削減の「定員適正化計画」は見直すべきと主張してきましたが、とくに、教育や医療・福祉分野にも当てはめるのはやめるべきです。

　「民間の専門的な知識・技術の活用による業務効率の向上など、給食業務の効率化を図るため」ともあります。

　現行の直営の調理場は、ぎりぎりの人員配置で、専門的な知識・技術、さらに経験を活用し非常に効率よく仕事をされている現場です。民間委託による「効率化」とは何を意味するのでしょうか。これについての回答は、「民間のノウハウ」のひと言で、具体的な内容がはっきりしません。

　私たち日本共産党は今回対象の３校とも現場を視察しました。そして、６月定例会と今９月定例会の本会議および経済教育委員会質疑において、疑問点を質しました。以下は、質疑を通してわかったことです。

　３カ所で、３年分で約４３００万円の経費の削減になるとの説明です。

　人員の配置は、３カ所で現在より５人程度増える一方、経費は年間１４００万円少なくなる。夏休みなど３休業期間中は、正社員以外は休みとなるらしい。

　ここから浮かび上がるのは、現行よりもかなりの低賃金、資格を持つ正規社員は少数で多数のパートさん、そういう現場なのではないかということです。

　この疑問についての説明は、「派遣されてくる社員の正社員・パートの内訳はわからない」との答弁です。

　先に民間委託が導入された他都市では、O-157以来、非常に厳しい衛生管理が求められる学校給食の現場で、低賃金で経験の少ない民間会社のパートさんは、仕事がきついのでやめる人が多く、「人がころころ入れ替わっている」ところもある、ときいています。

　そこで、「給食の質」がこれまでと変わらず安定的に提供されるのか。

　市の栄養士さんが立てる統一献立で、食材も一括購入で同じだから、また、集団給食の実績のある会社を選定するので、「給食の質に変わりはない」との答弁がありました。

　同じ献立、同じ食材でも、つくる人の技術力や経験によって、できてくる料理には違いも出ます。たとえば、だしをとるのに、同じ昆布や鰹節を使っても、やり方、かける時間によって味も香りも違うものになります。学校中に“いいにおい”が漂い、ああお腹すいたなあ、今日は何かなあ〜と子どもたちの期待が高まるのも、だいじな食育の一環です。

　

　「市が仕様書をつくり、それにもとづいて調理業務をおこなう」とのことですが、今年１月３０日付けの「内閣府 公共サービス改革推進室」が出した「地方公共団体の適正な請負（委託）事業推進のための手引き」には、学校給食の「業務実施の方法について」、「必要に応じて行う、地方公共団体と民間事業者と」の「打ち合わせにおいては、地方公共団体が献立・材料・数量・食材の切り方等について、指定の様式を用いて民間事業者に提案を行う」「民間事業者は地方公共団体からの提案を参考に、個別の調理員に指示を出すこと」とされています。

　あくまでも市から「提案」されたマニュアルを「参考に」業務が指示されるのです。

　栄養士など市の職員が、直接、責任者以外の目の前の個別の調理員に指示を出す事は、労働者派遣法に抵触する「偽装請負」となる恐れがあるので、できないのです。

　こうしたことから、「給食の質に変わりはないか？」ということが問われるのです。

　さらに、入札参加できる企業は、現在登録されている１社は市内、１０社は東京・大阪・名古屋などが本社の大手企業です。市民の税金や給食費が都会の本社の利益として吸い上げられることになります。

　給食調理員は、成長期にある、味覚が形成されて行く時期の子どもたちに、安心・安全でおいしい給食を提供するための専門職です。しかも地域の人を採用して、顔の見える給食というのも大事です。市がしっかりと責任を果たして職員を確保すべきであり、直営のところは直営を維持すべきです。

　「今後５年間で１５校を民間委託する」という「基本方針」も見直し撤回されることをあわせて求めます。

　市長は、学校給食法に位置づけられた学校給食をどのようにお考えなのでしょうか。成長期の子どもたちのからだをつくり、心を育む給食の経費、それも、人にかけるお金を削るなんて、私には信じられません。「行政改革」ありき、職員数削減ありき、そのしわ寄せを、子どもたちにしてはなりません。年間１４００万円の削減？　それなら、１年６０００万円もかかっている“フラワーハンギングバスケット”を考え直そうではありませんか。決算剰余金も出て積み立てられますし、イタリア料理のイベントや（６５０万円）「花トラム」（５５０万円）、そうしたお金が一般財源でちゃんと確保されているのですから、子どもたちのために、正規職員を採用していただきたいと思います。

　富山市議会・議員のみなさん。みなさんは、この議案をいかにして調査され、疑義をただされたのでしょうか？　いま、チェック機能を果たさねば、子どもたちに申し訳ないではありませんか。みんなで反対いたしましょう！！

　以上で私の反対討論といたします！